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三叉神経ブロック

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アルコ−ル神経ブロックと高周波熱凝固法

三叉神経痛は局所麻酔薬では数時間しか除痛が得られず、神経破壊薬または高周波熱凝固法の使用が必要である。破壊薬としては純アルコールを0.5ml使用し高周波熱凝固法では長期の効果を期待するときは摂氏90度で90秒から180秒の凝固を行う。

1.眼窩上神経ブロック

眼窩上神経は眼窩上縁で3,4本に別れる.それゆえ他の神経枝ブロックの様に神経幹内針を刺して薬液を入れる方法はとれない.浸潤ブロックを行う.針は25mm,25Gディスポ−ザブルを使用する.刺入点は眉間正中をより外側2.5mm で眼窩上縁の点とする.眼窩上切痕に針を入れる方法は眼窩に薬液が流れ効果が得難い.眼窩の上縁の骨に当たればそこでテストブロックのためにカルボカインを0.5ml 注入する.眼窩上縁の眉に沿って横に広がる様に術者の母指示指で抓みながら薬液を注入する.そのまま針を留置して,20分後無感覚を確認の上同量の純アルコ−ルを注入または高周波熱凝固法を行う.

2.眼窩下神経ブロック

鼻翼外側5mm を刺入点とする.針は50mm,22Gディスポ−ザブルを使用する.局所麻酔薬下に針を刺入し頬骨にあてる.ベベルを使って骨を滑らせて眼窩下孔に針を滑りこませる.眼球や眼瞼の損傷を避けるために,利き腕対側の中指を眼窩の下縁に強く当て,針が眼窩下縁を越えるのを防ぐ.薬液の注入は前ブロックと同様に行う.第2枝の三叉神経痛の77% はこのブロックで治療可能である.しかも,有効期間も上顎神経ブロックと大差ないために,困難で合併症の多い上顎神経ブロックよりもまずこのブロックを選択すべきであろう.
このブロックもアルコール注入、高周波熱凝固の両者で行える。

3.頤神経ブロック

この神経ブロックの適応は少ない.頤神経の,支配領域狭いためにこの神経ブロックのみで除痛が得られることは少ない.ブロック針は眼窩下神経ブロックと同様の物を使用する.頤孔は第2小臼歯の尾側で下顎骨の中央部にある.利き腕対側の母指で第2小臼歯を確認しその下を0.5mm 耳側を刺入点とする.背側から腹側に向かって頤孔に針を滑りこませる.

4.上顎神経ブロック

眼窩下神経ブロックで除痛が得られない奥歯歯肉の痛み,こめかみの痛みに対して適応がある.後上歯槽枝,頬骨神経は眼窩下神経ブロックで遮断出来ないために,より正円孔の近くに針を進める本ブロックを行う.このブロックは正円孔から眼窩下管の入口部までの間で下眼窩裂の内壁に針を当てて神経をとらえるブロック法である.すべての三叉神経ブロックがそうであるが,神経が骨と接している部位でのみ確実なブロックができる.神経を穿刺した針が骨に接触し,その位置が固定出来れば確実に効果を上げれる.しかしながらこのブロックでは針先を下眼窩裂の内側に置くために,かなり不安定な状態で薬液の注入をせざるを得ない,それゆえ他の方法に比べ成功率が低い.針は70mm22G ディスポ−ザブル針を使用する.刺入点は頬骨弓中央部より尾側10mmとする. 透視テ−ブルに患者を仰臥位とし,顎を少し上げ外眼角耳道を結ぶ線が垂線に対して 35-40 度となるようにする.管球の角度は付けない.正中より2.5-3.0cm 外側で上眼窩裂の延長線上の外側に正円孔が認められるように頭位を微調整する.眼窩下管の入口部は眼窩下縁の正中部に楕円型として認められる.正円孔と眼窩下管の入口部とを結ぶ外側にやや凸の曲線上を上顎神経が走行する.レントゲン透視下にその線上で放散痛の得られる点を探す.放散痛が得られたらレントゲン撮影、確認の上2%カルボカイン0.5ml を注入し,神経支配域の無感覚を確認の上,20分後同量の純アルコ−ルを注入する.

5.下顎神経ブロック

卵円孔の入口部で神経ブロックする.2方向のレントゲン透視が可能であるために,3次元的に針先の確認が出来る.そのためほぼ,100%近い確率でブロックが成功する.上顎神経ブロックに比べ完成された方法である.透視テ−ブルに患者を仰臥位とする.頭を落とせるように,肩の下に枕を置くか,発砲スチロ−ルの厚さ10cm程度の板を敷き頭部に段差を付ける.頭部の固定は発砲スチロ−ルの枕を使用する.レントゲン透視は斜位で行う.顎を軽く持ち上げ健側に約10度回転させる.レントゲンの管球を約20度傾ける.この状態でレントゲン透視を行い,下顎骨筋突起と上顎洞外壁の間隔が20mm程度になるように調整し,さらに筋突起の内縁長の1/2の部位を錘体骨の上縁が横切るように頭位を調整する.そうすると錘体骨上縁の上に卵円孔が観察できる.卵円孔自身を探そうとしてもコントラストの低い患者ではなかなか困難である.われわれの方法ではあらゆる患者で簡単に卵円孔が見付けられる. 刺入点は耳珠前方3-3.5cm で頬骨弓尾側 1cm とする.7cm22Gディスポ−ザブル針を局麻下に穿刺する.標的ポイントは卵円孔と錘体骨上縁の接線で卵円孔の外側よりとする.放散痛があればレントゲン撮影を行う.透視方向(APO View) と,軸写をする.軸写のときは最大限頭部を後屈し,レントゲンの管球を30度傾ける. 2%カルボカイン0.5ml を注入し第3枝領域の無感覚を確かめる.20分後合併症の無いことを確かめて同量のアルコ−ルを注入または高周波熱凝固法を行う.

6.ガッセル神経節ブロック

患者の体位レントゲン透視法は下顎神経ブロックとまったく同じである.針は10cm 22Gを使用する.刺入点は口角外側3cm とする.刺入点と卵円孔が透視上で重なるようし,レントゲン線の方向に針を進めれば針は必ず卵円孔にむかう.レントゲン透視下に針先を卵円孔の前壁に当てる.次ぎに針の角度を大きくし円孔後壁に針を進める後壁に針先が当たればハリのベベルを利用して後壁ぞいに卵円孔ないに進める.この点で激しい痛みが下顎部に誘発されるために0.1ml の2%カルボカインをブロック針より注入する.除痛がえられたらツベルクリン用1ml のプラスティック注射器を針に接続し軽くピストンを押しながら,非常にゆっくりと進める.ピストンの抵抗が消失したところで,針を止める.脳脊髄液(CSF)の逆流がないことを確かめてからAPO Viewと軸写のレントゲンをとる.0.2ml の2%カルボカインを非常にゆっくりと注入する.第3枝罹患のときは卵円孔の外側を,第2枝のときは中央,第1枝罹患のときは内側寄りに針を穿刺する.いずれの場合も卵円孔の後壁寄りに針を進めるべきである. 0.2ml のカルボカインで目的とする領域の知覚脱出がえられたら,造影剤を注入し広がりを確認し、20分後に同量の純アルコ−ルを注入する.1時間は頭を動かさないで仰臥位とする.

7. ガッセル神経節高周波熱凝固法

最も安全確実に三叉神経痛を治療できる方法である。感覚脱出となれば10年以上の効果が得られる、最近は鎮静法を使うことにより、痛みの少ない方法で行っている。
熱凝固法(RF)は神経の構築を破壊せず軸索破壊と脱髄を生じる.そのためにアルコールと異なり,再生時のmissdirection が起こりにくい.そして刺激装置と温度モニタ−を使用することでprove の先端位置を選択でき,神経破壊の程度を調節できる.従来は19 GのCannula を使用するTic Kitまたは湾曲先端を持つTew Kitが用いられる事が多かったが,われわれは外径が22G であるspinal rhizotomy 用のSluyter-Mehta Kit (SMK Kit )を用いている。SMK Kit のコーティング針は先端が鋭く径が細いため患者の苦痛が少なく穿刺もしやすい.テフロンコーティング針をアルコ−ルブロックと同様に穿刺する、コーティング針の先端位置はretrogasserian space でありこの部位でrootlets を凝固する.刺激装置を使い50Hz,0.3V 以下で目的をする神経支配領域に放散痛を来すように針の位置を微調整する.0.4V以上が必要であれば適切配置ではない. 凝固巣の大きさは針の非被覆の長さに関係する.Tew Kit では手元でその長さを調整できるがSMK Kitでは調節できない。凝固温度は60-90 度,凝固時間は60-180秒である。

8.耳介側頭神経ブロック

ガッセル神経節ブロックより10mm頭側を刺入点とし、同神経ブロックと同様に穿刺する。

標的部位は卵円孔の外側後壁である。下顎神経の枝である耳介側頭神経を穿刺するためには針先を下顎神経ブロックの目標点よりも後よりとしなければならない。目標神経を穿刺すると、耳介、側頭部に激しい痛みを生じる。適応は側頭部の痛みを訴える片頭痛、群発頭痛などである。アルコールの注入はしない。造影剤を注入して広がりを確認後、高濃度の局麻薬とステロイドの混合物を0.5ml注入する。しばしば下顎神経に薬液が及びオトガイ部も知覚低下となる。

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